運命の出会いって信じますか?
「確か最終面接で…。」
私がそう言いかけると、彼はゆっくりとうなずいた。
「一緒だったよね。」
私はその時の事を思い出す。
最終面接は男女2人ずつ4人一組で行われた。
その中に、その営業さん…英輔が居たのだ。
何故憶えているかというと…。
廊下で待っている間に、どうも緊張でがちがちだった私の顔を見て、隣でくすくす笑っていたのが彼。
「もうここまで来たら、腹をくくりなよ。」
そう言って私に話しかけてくれたのだ。
「面接官に自分を知ってもらえばいいんだ。その結果がダメなら、面接官が見る目がなかったって思わなきゃ、へこむばかりだ。」
とても落ち着いた彼のその様子に、自然に私の顔が緩んだのを覚えている。
「君もこの会社に入社したんだね。」