運命の出会いって信じますか?
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「華、帰れるか?」

珍しく英輔の方から声を掛けられた。

「今日も一緒にご帰宅ですか?」

増本君が真美の席から顔を覗かせた。

いつも通り定時で帰った真美の空いている席に増本君が座り込んで、私と書類の手直しをしていた。

「今日で名古屋支社はしばらくご無沙汰になるな。」

英輔はお名残り惜しそうに言う。

今日で無事に英輔は東京本社、名古屋支社と日本出張を終えた事になる。

「増本、本当に華の事を頼む。」

珍しく英輔が増本君に頭を下げた。

「どっ、どうしたんですか?日下さんに頭を下げられるなんて、ちょっと怖いです。」

増本君は目を丸くしている。

「増本のせいでもあるけど、華がこんなに仕事に追われているとは思わなかったよ。俺がここに戻って来るまで、華に無理させない様に頼むよ。」

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