運命の出会いって信じますか?
13
「ねえ、私一人暮らしをしようと思っているんだけど。」

そう英輔に相談したのは、入社して3回目の夏を迎える頃だった。

「俺の社宅は居心地が悪いか?」

英輔はゆったりと笑う。

「ううん、家から出たいだけ。」

もうこのころになると仕事をそこそここなせるようになっていて、英輔の社宅に行くのは週末だけになっていた。

その事に少々不満な英輔。

私も実家に住んでいるために、平日は必要にかられない限り英輔の社宅には行かない。

でもゆったりと過ごせる週末に、英輔が私のそばに居る事は当たり前になりつつあって、その事にすっかり癒されている私がいた。

「家に居ると家族がうるさい。」

実際、私達が付き合う様になって3年。

そろそろ結婚について、家族からいろいろ言われるようになって来たのがうっとおしかった。
< 88 / 478 >

この作品をシェア

pagetop