恋の魔法と甘い罠Ⅱ
石崎さんが言っていることに気持ちを左右されてはいけないと、きゅっと気持ちを引き締める。



“突然だったから一部屋しか空いてないんだって”



けれどこの一言であたしの心はぐらんぐらんと揺れはじめて。


一部屋しか空いてない?


その上、石崎さんは晴希さんのスマホから電話を掛けている。


晴希さんのことは信じているし、疑いたくもない。


でも──



“今ねー、和泉さんは……”



とても弾んだ声で楽しそうに話し始めた彼女の言葉を聞きたくなくて、あたしは無意識に電話を切ってしまった。


ずきんずきんっと痛む胸を掌でぎゅっと押さえるけれど、全く痛みが引くことはなくて。


気づいたら、あたしは涙をはらはらと流していた。
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