恋の魔法と甘い罠Ⅱ
そしてガチャリと鍵を閉めると、晴希さんはぎゅっと抱き締めてきた。



「晴希さん?」


「ごめんな。帰れなくて」


「ううん。大丈夫だよ」



本当は不安で不安でしょうがなかった。


家に帰ってきてこんな風にぎゅっと抱き締めてほしかった。


でも、こうやって晴希さんの顔を見たら、こんな風に抱き締めてくれたら、そんな思いなんて吹っ飛んでしまったようにほっとしてしまって。


思わず『大丈夫』なんて言葉がこぼれてしまった。



「今の仕事が片付くまで帰れない」


「うん」



さっきちらりの見えた営業課の雰囲気、そして晴希さんの表情で、きっと今が一番大切なときなんだという空気を感じた。
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