Engage Blues





 ぞくぞくと悪寒に似た快感が背中を這う。
 他の異性を知らないわたしにとって充分だった。

 より身近に彼を感じて、自分の下腹部を強く意識してしまう。
 繋がった場所が、じんと甘く疼く。

 見下ろしてくる慶さんが、少し顔をしかめた。


「梨花……」

「大、丈夫です。動いて」


 気遣わしげに訊ねてくくる声を遮った。

 一歩先に感じる甘い痺れ。越えた後の不安は当然ある。
 けれど、それ以上に慶さんのことしか考えられなくなっていた。

 もっと奥にきて、乱暴に掻き乱して欲しい。

 とても口に出せなくて、いつも慶さんの首筋に顔を埋める。
 抱きつく腕に力を込めると、短く吐かれた息の音がした。

 はじめは、緩やかに動き出す。浅い快感に不満を覚えるほど。
 それが段々と深く、激しくなっていく。

 境目なんて覚えてない。気がついたら中が熱くて溶けかける寸前。
 慶さんに深く突かれると全身の力が抜けて、強く揺さぶられるだけ。

 寄り合わせた糸も、次第に強度が落ちていく。

 重ねた肌から熱を帯び、じっとりとした汗が浮き出てきた。





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