Engage Blues





「これで決定的瞬間を激写してくださいッ! なんでしたら、動画を!」

 手にしたスマートフォンを放り投げる。
 受け取った慶さんは、再び歩道の先に向き直った。


 その隙に、子トラ兄弟は素早く距離を詰めてくる。


「虎賀流闘術、【猛虎連蹴(もうこれんしゅう)】ッ!!」



 どちらも、サッカーのボールを蹴るような鮮やかなフォームだった。
 ただし、向かってくるのは圧縮された闘気の塊。

 まともに食らったら、大怪我じゃすまない。



「凰上家流闘術ッ!」


 ザッと靴底を滑らせ、意識を集中する。
 特別な呼吸を繰り返しながら、掌に闘気を集めるようなイメージを描く。

 急速に暖かくなる手が腕に達した時、躊躇なく振り上げた。



「【鳳燐翔(ほうりんしょう)】ッ!」



 叫んだと同時に竜巻のような強風が吹き荒れる。










< 87 / 141 >

この作品をシェア

pagetop