Engage Blues
「これで決定的瞬間を激写してくださいッ! なんでしたら、動画を!」
手にしたスマートフォンを放り投げる。
受け取った慶さんは、再び歩道の先に向き直った。
その隙に、子トラ兄弟は素早く距離を詰めてくる。
「虎賀流闘術、【猛虎連蹴(もうこれんしゅう)】ッ!!」
どちらも、サッカーのボールを蹴るような鮮やかなフォームだった。
ただし、向かってくるのは圧縮された闘気の塊。
まともに食らったら、大怪我じゃすまない。
「凰上家流闘術ッ!」
ザッと靴底を滑らせ、意識を集中する。
特別な呼吸を繰り返しながら、掌に闘気を集めるようなイメージを描く。
急速に暖かくなる手が腕に達した時、躊躇なく振り上げた。
「【鳳燐翔(ほうりんしょう)】ッ!」
叫んだと同時に竜巻のような強風が吹き荒れる。