Engage Blues





 こいつら、何だかんだ言ってて美由紀が好きなのだ(家族的な意味で)。
 うちのコウとは大違いだな。

 けど、どんな理由にせよ浮気はよくない。
 これに懲りて次の彼女を大事にしようと反省してくれればよいのだが。



「そういうことなら協力してあげたいけど、奥義書の在処は私も知らないのよ」


 話を聞くかぎり、美由紀は先日の一件で大した怪我もないらしい。
 つまり、また勝負をふっかけて来るに違いないので、妥協点を探ってみる。


 一番、望ましいことは凰上家が所有している奥義書を渡すことなんだけど、わたしにどうにかできる問題ではないのだ。
 正直にぶっちゃけると、子トラ兄弟は肩を落とした。


「……ですよね」

「俺らも散々そう言ったんスよ。どこの家も師範しか閲覧できない掟だから、梨花姐も知らないだろうって」

「いや、うちはちょっと違うんだけど……」

「???」

 言い淀むわたしの反応に、双子は不思議そうに見つめてくる。



 凰上家所有の奥義書は、長男の兄だけしか在処を知らない。

 現代師範である母は掴みどころのない自由奔放な人で、子育てそっちのけで世界各地を放浪する猛者だ。





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