私は、アナタ…になりたいです…。
「わ…私は、田所さんが憧れるようなものは何も持っていません!」


滅相もない、という言葉まで付け足して拒否した。
その顔は驚きを通り越して、ショックすらも受けている様に見える。

どんな表情の彼女も可愛い。
『ミニマム女子』の河佐さんは、やはり僕の一番の憧れの人だ。


ふ…っと笑みが溢れてしまった。
彼女はそんな僕の顔を凝視して、唇をきゅっと噛み締めた。


「君がそう思うなら僕と付き合ってみない?君にしか無いものを教えてあげる」


そんなことを言うつもりもなかったのに、つい口をついて出た。
ねっ?と癖のようにウインクをする僕を仰け反るような態勢で眺めている。そして、ますます困惑した表情を深めていった。

そこへ丁度いい具合に飲み物のグラスが届いて、「乾杯」と縁を鳴らした。



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