強引上司とオタク女子



結局、その後私たちは会社をでて、いつもの道のりを沢山話しながら帰る。


「個人的に頼まれたことなんだけど、まあイベント企画の一環みたいなもんだからお前やってみない?」

「なんですか、またそんな怪しいの」

「怪しくはねぇよ。三笠くんのプロポーズ大作戦だと。一度断られたからちょっとビビっているらしい」

「は? 三笠くんからの依頼なんですか?」

「今回無理きいてもらったからなぁ」


いつの間にそこまで深い話をするようになったんだ、この二人。
全く、謎のコミュ力の持ち主だなぁ。


「お前が一番適任だろ、二人のことをよく分かってるし」

「はあ」

「何より幸せを願える」


素直にそれを願えるようになったのは、国島さんがいてくれたからだけどね。

でもそうだね。
大好きな二人だから、最高の幸せを掴んで欲しい。


「考えておきます」


そうだな。
明日美は案外ベタな展開が好きだから、舞台上からプロポーズさせるのもいいかもだよね。
三笠くんの劇団の人に協力してもらえば、それも不可能ではないだろう。

驚いたように息を飲んだあと、目をうるませて泣く明日美を想像して、思わず頬が緩んでしまう。

最寄り駅のホームで、いつもなら北と南に別れるところ、何故か国島さんは私に着いて来る。


「なんですか。家にはまだ入れませんよ」


なんてったって汚れているし、アニメグッズは溢れているし、順応してくれる気はあるみたいだけど、見せる勇気のほうがないわ。


「バカ。遅いから送ってやるだけだよ」

「別に平気ですけど。今まで一度も襲われたことないですし」


むしろ国島さんが危険な気がする。

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