柚と柊の秘密





俺は軽く準備運動をして、スパイクを履く。

久しぶりのサッカーだ。

最近いじめに耐えてただけだからな。

今日は思いっきり憂さ晴らししてやろ!





そう思った俺の視界に入った奴……

奴はちょうど校庭に面した扉から、校舎に入ろうとしていた。




こげ茶の髪。

紺のサブバッグ。

背中にはギターをかけている。

今日は練習なんてないはずなのに。

……そう、奴こそ柳健吾。

昨日、柚を泣かせた奴。

柚の敵討ち……ではなくて、誤解を解かないと!







「おい、柳!」




話したこともないのに、俺は柳に手を振っていた。

柳は振り返り、俺を見て少し驚いた顔をする。

王道イケメンの俺様とは違い、切れ長な瞳を持つ、クールなイケメンだ。

ま、キラキラオーラは俺のほうが勝っているけど。




柳は何か言おうと口を開いたが、




「大切な話があんだよ。

ちょっと来いよな」




俺は柳の肩に手を回し、校舎の隅に連行する。

柳は抵抗することなく俺についてきて、正直ホッとした。





さて……


これからどうするかな。




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