柚と柊の秘密





でもね……





「諦めるのはまだ早いと思うんだ」




あたしはそう口にしていた。



お父さんも確かに才能があるみたいだけど、お父さんの才能を開花させたのは優弥おじさんだし。

お父さんもはじめはプロなんて考えてなかっただろうし。

人生、何があるか分からない。





「あたし、応援してるから」




健吾君はあたしを見て、目を細める。

その顔を見て、心がほわっと温かくなる。





「ずっとずっと、応援してるから」



「ありがとう」




健吾君の言葉が胸に沁みる。

そして、胸がほんのりと熱くなる。




「柚といると、なんでも出来そうな気がする」





ありがとう。

そう言ってくれるとすごく嬉しい。

あたしね、健吾君のそばにいることしか出来ないけど、健吾君を励ますことが出来たらいいなぁ。




健吾君、好きです。

あなたのことが、すごく。






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