柚と柊の秘密
俺はあたりをきょろきょろ見回した。
教室内の奴らは俺を横目で見て、俺と目が合うと慌ててそらす。
だけど、いつもの陰口は聞こえてこない。
そして、
「柚!今日の髪型可愛いー」
信じられない言葉が聞こえ、
「は?」
俺は女子をガン見した。
今日の俺は、いつものように戦闘態勢のためのお団子。
……て、こんなことはどうでもいい。
何だよ急に馴れ馴れしくしやがって。
戸惑う俺に、
「柚ちゃんもお菓子食べる?」
「柚、柊君ギターやるんだってぇ?」
「戸崎さん。宿題やってきた?」
なんてフレンドリー攻撃してきて。
どうなってんだ、こいつら。
どっちにしてもイライラする。
今まで散々俺をいじめておいて、急にこの態度かよ。
謝ったりもない。
ただ、なかったことにしただけ。