柚と柊の秘密







里穂ちゃんは俺と話したくて仕方がないらしい。




「戸崎さん、お弁当美味しそう」




なんて言ったり、




「戸崎さん!

あたしのタコさんウインナーあげるよ?」




そう言って、箸でタコさんウインナーを摘んで俺の口に近付ける。




「はい、あーん」




そう言われると、ついついいつもの癖で口を開いてしまう。

そして、俺の口にタコさんウインナーがダイブした。





何やってんだ、俺。

山形がいるっつーのに。





慌てて山形を見た。

山形は黙って、少し寂しそうな目をしているように見えた。

俺の胸がズキンと痛む。

だけど、次の瞬間満面の笑みになって。




「里穂ちゃん、戸崎さんのことが好きなんだね」



と笑っている。

おまけに、




「戸崎さんもいい友達が出来たね」




なんて余計なことを言いやがって。

俺は里穂ちゃんよりお前がいいんだよ!

そんな言葉が口まで出かかった。



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