吸血鬼、頑張ります。



夏祭りの思いがけない一件の後、

蕪木家に東洋魔導師組合から通達が届いた。


どうやら、鉄観音達が行く学校が決まったらしい。


通達を読むと、


私立聖ルボルグ学園と言う学校に通うこととある。


鉄観音は教師ではなくカウンセラー。


不老不死の香織と沙織の知識習得の為に、魔導師組合が特殊な術によりサポートする旨が書かれていた。


不死身のひよりは特に問題はないものの、定期的な吸血を行わなければならず、一般生徒から吸血する訳にはいかないため、カウンセラーの鉄観音から血を貰う。


その他、様々な細かい決まりが書かれていた。



「こんなに大変なの?やっぱし止めようよ、学校に通うこと」

鉄観音はイブに言う。


「これだけ魔導師組合に手間を取らせた以上、通わないと言う選択肢は有り得ません。
頑張って普通に学校に通って下さい」


様々な取り決めを、反故には出来ない。

まして魔導師組合も絡んだ以上は逃げ場はない。

憂鬱な気分の鉄観音とは裏腹に、3人は通達を心から喜んでいた。


聖ルボルグ学園とは、小中高一貫の私立。
ある程度選抜された人しか通えない名門だった。

制服のデザインは、有名デザイナーが手掛けて、人気も高い。


勉強やスポーツにも力が入った学校であった。



「まあ、難点は蕪木家からは通えないので、完全全寮制の宿舎に、女子3人は入って頂きます」

「で、王は学校の近くにアパートを借りて住んでいただきます。
まあ、数年の間です。沙織さん、ひよりさんの二人が、高校を卒業するまでの間、住んでください」


「け、結構、長いよ・・・」


「皆さん、休みは必ず蕪木家に帰って来てくださいね。
私が寂しいので」


「無視かよ・・・まあ、いいや・・・」



学校訪問、
制服採寸、
学力テスト、
鉄観音の面接、
書類の記入、
様々な事があるわけだが、ひとまずおいおい話をするとして、

日野みさきと四人は面談を行い、吸血鬼の力を抑えるアイテム、
ロザリオを貰う。


一時的に脳を活性化する術を施してもらい、学習のキャパシティを増量。

いよいよ学校に通う準備は整った。


そして新たな波乱が幕を開ける。

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