その瞳をわたしに向けて


時折り大きな溜め息を吐いて、気を使いながら鼻を啜る音がした


美月の肩に顔を埋めているため、ぶっかけた水で濡れて冷たいはずなのに、妙に熱く感じる



男の人でもやっぱり泣くこと出来るんだ………



ぼんやりと記憶をたどると、思い出されたのは、父親に叱られている兄が顔を歪ませて、涙を堪えていた姿だ


あれはいつの事だっただろう………


中学生になったばかりの兄さんが、友達と喧嘩して怪我させたんだったっけ………

確か、喧嘩の原因が私だったような気がする。だからそばで一緒にいたんだっけ


下から見上げた兄の顔の角度が、はっきり思い出された



あの時も、子供ながらに見ては駄目なんじゃないかって思ったなぁ………





< 146 / 432 >

この作品をシェア

pagetop