その瞳をわたしに向けて

松田 side



「お友達かな?」

美鈴が1人になった松田に話しかける


「ねぇ剛平君、さっきのお見合いの話なんだけどさぁ…………もしそれが美月ちゃんだったらどうしてた?」

「へ………?」

美鈴の急な質問に一瞬首を傾げる

「だからぁ、美月ちゃんがご両親から断れない見合い話を押し付けられて困ってたら、剛平君やっぱりその同僚の子に頼んだりするの?」

「……………………」

思いっきり美鈴の言う設定に、考え込む松田 暫く考えていたがゆっくり口を開いた


「…………いや、堀内には頼まないと思いますよ。さすがに」

「なんで?」

美鈴が楽しそうに松田の答えを待つ

美鈴は、美月が実はかなりの資産家の家柄
だという事は知らない



「清宮はたぶん、そんなこと俺に頼んだりしませんから。」

はぁ?っと松田の返ってきた答えが理解できないで目を丸くする美鈴

「俺が恋人役じゃ、見合いは断れないですから………」

「…………?」


考えてみれば、杉村常務だってうちの会社の社長の甥で、そんな人でも清宮の親から申し込まれた見合い話を自分では断ることが出来ない立場だった

そんなお嬢様の相手なんて、それはそれはどこぞの企業の社長や議員の御曹司かってところだろう…………

俺は、普通のサラリーマン。親も二人役場勤めの公務員と共働きの一般家庭だ。
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