その瞳をわたしに向けて

松田のその低音の声にゾクッと鳥肌がたった

もう、その後二人が何を話しているのか、松田の声が低すぎて聞き取れない

ただ…………何を話していても、今松田の視界の中にいる彼女に対し、言い様のない嫉妬心を押さえられない。


変だ、私…………

顔を伏せ後ずさる



「ってぇ!!」

えっ………あ!?

後ろに一歩下がったとこで、後ろにいた堀内の足をヒールのかかとで踏みつけた


「ごめっ…………わっ!」

バランスを崩して、二人して倒れ込んだ。





「何やってんだ、こんなとこで…………」

松田と、その後ろから顔をだす石原真由美が棚のかげにいた美月たちを、不機嫌に見下ろす


「…………悪いな、邪魔しちゃった?清宮ちゃんがお前に会いたがってたから」


ニコニコと松田を見上げてそう言う

足を踏みつけて咄嗟に向きを変えて倒れ込んだから、堀内の胸の中にスッポリ収まっていた。美月の身体を支えるように腰に手を回している堀内

「ちがっ、あのっ山崎主任が…………っ」

すぐその体勢から離れようとしてじたばたしてるうちに、松田に腕を掴まれ引っ張り上げられた。

「いたっ…………」


「堀内、お前いい加減にしろよ」
< 185 / 432 >

この作品をシェア

pagetop