キミに出会うまで
一歩
12月30日。


年末年始の買い出しに、荷物持ちと運転手役として両親と出かけた。


年末の恒例行事となりつつある。


父親は運転できるし、私がいなくても持てる程度の物しか買わないのに。



今日まで、31日の夜に出かけることを話していなかった。


話すなら、渋滞にはまっている今だ。


「明日なんだけど、カウントダウンイベントへ行くから、21時くらいに出かけるね」


「誰と行くの?またいつもの明日香ちゃんたち?」


きた、お母さんの質問攻め。


「えっと、今回は違って・・・」


「わかった、最近できた彼氏でしょ」


「えっ??」


なにそれ、なんでそんなこと言うわけ?


「何度かうちまで送ってもらってるでしょ、ご近所で見かけたっていう人がいて、教えてくれたのよ。


まあ、もう30歳なんだし、彼氏ぐらいいてくれないと困るわよねー、って話したんだけど」


「私はまだ29歳ですけど」


「何言ってんの、来年になったらすぐ30じゃないの」



それまで黙っていたお父さんが、割りこんできた。


「優花、彼氏と行くのか?」


お母さんが更に突っこんでくる。


「優花、明日迎えに来てもらうなら、せっかくお父さんもいるんだし、少しあがっていただいてちゃんと紹介したらどう?」



ごめん、森さん。


明日、彼氏のフリしてもらうことになりそう。



「わかった、そうするよ」


「あら、お父さん、明日緊張しないでよー」


お茶菓子買わないと、何がいいかしら、彼氏の好みは、お名前は何て言うの・・・


お母さんの質問にひとつひとつ答え、黙ったままのお父さんを気づかった。



事後報告になったけれど、森さんにも連絡を入れた。


『まかせとけ』


短い返事だったけど、安心した。








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