キミに出会うまで
幸福
1月6日。


仕事初めの日。


気合いを入れて、会社へ向かっていた。




お正月休みは、だいたい家で過ごしてた。


毎日、森さんと連絡はとっていたけど。


2日に遊ぶ?って話してたけど、1日にお兄ちゃんのとこの子供たちと遊んだらバテてしまって、ずらしてもらった。



3日に、映画をみて、買い物して、ごはん食べて、軽く飲んで。


いわゆる『デート』ってやつを満喫した。



両親は、森さんのことが気に入ったようで。


「またいつでも来てもらいなさいね」


と、ご機嫌な感じ。



でもまだ、名前で呼べてない。


森さんは、何も言わないけど。


ほんとうはきっと、気にしてると思う。



今日会社で会ったら、なんかニヤけちゃいそう。


あっまず、『森さんと付き合うことになりました』って報告した明日香先輩とひとみちゃんから、こと細かく追及されるだろうな。


そんなことを考えながら会社の最寄り駅を出て信号待ちをしてたら、


「おはよ」


右隣に、森さんが立っていた。


「おはよう」


「寒いな」


「そうだね」


「あっそのコート、この前買ったのだろ」


「うんそう、私ね、買ったらすぐに使いたくなるタイプで」


「似合ってる」



そこで、ハッと気がついた。


今の会話を、会社の誰かに聞かれていたら、私たちの関係がバレちゃう。


「ありがとうございます」


急に敬語になった私を見て変な顔してたけど、納得したみたいで、それ以上は突っこんでこなかった。





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