キミに出会うまで
スタンプを送っても、返事はなかった。


やっぱり、私たちはもう終わりなんだ。



毎日、家と会社の往復で、週末は家でゴロゴロして。


最初のうちは、明日香先輩やひとみちゃんも、お母さんも、私のことを構っていたけれど。


私が変わらないのがわかったのか、何も言われなくなった。



あれから、もうすぐ1ヶ月。


優樹からは、何の連絡もなかった。


まだ残暑は続いているけれど、だんだん太陽は夏の強さを失いつつあって、日差しは毎日少しずつやわらかくなっていた。



そんなある日、システム部の同期の五十嵐くんが突然話しかけてきた。


「坂本、森さんと最近どうなの?」


「どうって、どういう意味?」


「付き合ってるんだろ?」


「なんでそんなこと聞くかな・・・」


「こないださ、表参道で森さんが女連れて歩いてるの見かけたからさ、教えてやろーかと思って」


「・・・ふーん、そうなんだ」


「あれ、気になんねーの、揉めるかと思ったのに」


「揉めたりしないよ」



もう、揉めることもできないんだよ。



「ねえ、ちなみに、どんな感じの人だった?」


「なんだ、やっぱ気になってんじゃん。


ショートカットの小柄な女だったけど。


坂本とは違うタイプだな」


「そうなんだ、ご報告ありがとう」




優樹は、もう新しい生活を始めてるんだね。


私は、あの日から時間が止まっているのに。




わかってたよ、男はみんな嘘つきだって。


だけど、優樹は違うって信じてたのに。


結局、優樹と知り合う前の私に戻っただけ。


もう誰とも付き合わないし、恋愛もしない。


一生独りでも生きていけるように、もっと貯金しよう。


付き合っていなければ、お金も使わないし。












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