キミに出会うまで
驚愕
11月になり、世の中が慌ただしくなってきて。


仕事も忙しくなってきた。


朝晩は肌寒くて、マフラーやストールを巻く日もでてきて。



ストールは、優樹と突然映画に行くことになった日に買ったもので。


そうやって、何かを手にしたり見たりするたびに、優樹を思い出した。



優樹がクリスマスにプレゼントしてくれたピアス。


一緒に行ったレストラン。


優樹の部屋で一緒に観てて、笑い転げたテレビ番組。


感動した函館の夜景。


さわる癖までついた、右手薬指の指輪。



優樹のことは、毎日ちょっとしたきっかけで思い出してしまう。


そして、優樹の家に置いてきてしまった、合鍵の入ったキーケース。



優樹はもう、違う誰かと一緒にいるのに。


きっと、私のことなんて忘れていて。


あの部屋で彼女と暮らしているんだろう。


合鍵も、彼女に渡していて。


小さいことにこだわって怒った私なんて、さっさと見切りつけた優樹みたいに、来年こそ私も変わるんだ。


年末に向けて少しずつ華やかになる街を見ながら、新たな決意をした。















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