キミに出会うまで
1階でエレベーターを降りて、ロビーを通り過ぎて外に出ようとした時。



「優花」


私を呼び止める、なつかしい声。


スーツを着た優樹が、立っていた。


「えっ、なんで・・・」


あまりに驚いて、身動きができない。


「遅くなってごめん、迎えに来た」


「えっでも、新しい彼女ができたんじゃ・・・」


「なにそれ、そんなのいないけど」


「と、とにかく、私はもう・・・」


逃げようとする私の腕をつかむと、


「うちで話だけでも聞けよ、それからどうするか決めてくれていいから」


じゃあまた今度ゆっくり、と優樹は明日香先輩とひとみちゃんに言うと、私の手を握って外に出た。


「いってらっしゃーい」


明日香先輩とひとみちゃんに見送られながら。


っていうか、どうして二人ともそこで見てるの?


まわりも人だらけだし、余りにも注目されすぎだし。


恥ずかしくなって、急いで会社を後にした。



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