キミに出会うまで
偽装
次の日。


私は会社を出て、森さんの家に向かっていた。


なんで会社以外の場所で、森さんと会わなきゃいけないんだ。




明日香先輩とひとみちゃんには、今日のランチで話した。


ふたりともかなり驚いていたけど、


「ま、ゆうは今フリーなんだし、見返りもありそうだし、いいんじゃない?」


「優花先輩なら乗り越えられますよ」


なんて。


しょせん他人事だしな、とも思ったけど、逆の立場だったら、同じようなことしか言えない。




森さんちは、駅近の閑静な住宅街にあるマンションで、当日はご両親を空港まで迎えに行くことになるだろうと言われてた。


最寄り駅から自宅へ向かうのに、道もわからなかったら話にならないし。


インターホンを鳴らすと、森さん、じゃなくて、優樹さんがオートロックを解除してくれた。


「迷わず来れたか」


「うん、なんとか」


「じゃ、いろいろと教えとくから」



前にここに来たときは、私は記憶をなくすほど酔っぱらってて。


家具に女性の存在を感じたくらいで、ほとんど何も覚えていなかった。


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