キミに出会うまで
沈黙
森さんからの依頼を終えてすぐ、明日香先輩とひとみちゃんが『お疲れさま会』を開いてくれた。


まあ、私たち3人は、なにかと理由をつけて飲みたいだけなんだけど。



「ゆう、最近また森さんと言い合いしてるでしょ?」


「言い合いっていうか、森さんがこっちの意見をぜんぜん聞いてくれないんです」


「部長が言ってましたよ、『坂本さんは、俺が止めないと殴りかかりそうな勢いなんだよなー』って」



部長、陰で私のことを暴れん坊みたいに言ってるのか。



「でもさ、森さんとゆうって、なんかお似合いだよね」


「私もそう思いました!」


「えーっ、ムリムリ、そんなのぜーったいにあり得ない」


「ゆうがムリでも、森さんはゆうのこと気になってるんだと思うけどな」


「明日香先輩、私もそう思ってました」


「なんでですか?」


「だって、いくら彼女のフリしてほしいからって、自分のキライな女は選ばないだろうし」


「そうですよ、社内だけでも他に独身女子は何人かいるのに、優花先輩だけに声かけてますし」


「それはないよ、たまたま仕事上つながりがあっただけ」


「そうかな、でも私は、ゆうに新しい恋してほしいけどな」



「明日香先輩の頼みでも、それは無理です」


ムリムリ。


男は、みんなズルイんだから。


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