一目惚れの片想い
結果的に、俺は

鈴木さんを傷つけたような気がする

「送ります!」

「大丈夫です!ここら辺の土地勘あるので」

逃げるように、玄関まで来た


「鈴木さん!」

「今まで通り、仲良くして下さい!!
それだけでいいです!」




鈴木さんは、ペコリと頭を下げ


俺と目を合わさず、出て行った



恋愛経験ないって言ってたから

初めてだろうし、俺は鈴木さんが好きで

大事にしたい



だから、誤った選択ではなかったはず




二度寝なんて、出来なくて

そのまま会社で午前中を過ごし

午後、打ち合わせの為PPへ

休みって言っていたのに、鈴木さんが

いたから、驚いた


スカートだから、秘書課の仕事だな


外国人男性と楽しそうに談笑していた


俺に気づいて、軽く会釈しあった


鈴木さん、大丈夫そうだな…よかった


この日の打ち合わせは、はかどらなくて


全然、進んでないのに、3時間経つ


ノックとともに

「失礼します」

鈴木さんが入ってきた


「広瀬さん、新田リーダーが
確認したいことがあるそうですよ」

広瀬さんが席を外して

鈴木さんが対応してくれる

企画を熟知してくれていた


「いいですね!ただ、見せ場が欲しいかな?
手に汗握るような、ドキドキするような
何か、ないですか?」


逆に聞きたいくらい、煮詰まってた


「春陽、体操してたから、アクロバットみたいなの出来ますが、それじゃダメ?」


先輩と俺は、立ち上がった


「それですよ!!鈴木さん!!!」

「よかった!!鈴木さん!!ありがとう!」


クスクス笑いながら


「どういたしまして」


と言ってくれた



「鈴木さん!!……すみません
コレ、発注し忘れて……どうしよう」

「見せて
んー、いつまでにコレ欲しいの?」

「明日です…」

「明日ねぇ…
わかった、なんとかする」

「え!」

「なんとかなるわよ」


なんですか?

その自信…


鈴木さんは、スマホをいじる


「もしもし、鈴木です
うふふっ 鈴木でわかってよ
いーえ、はいはい
…………(←発注漏れの説明) 本当!?
じゃあさ、今から届けてくれる?
ありがとう!!
えー?あたし、2人きりで食事とか
行かない主義だから!
うん!またね!
広瀬さん!なんとかなった!!」


鈴木さんって、凄いと思った

「鈴木さん…ありがとうございます…」

「なんとかなる失敗だけど、気をつけて下さいよ?」

「はい」


5歳年下の上司に、涙ぐんで、お礼を言う

広瀬さんは、ある意味恵まれている

こんな素敵な上司がいるんだから


それにしても


2人きりで食事に行かない主義って…

昨日、俺と行ったよね?

しかも、駄々っ子になって

泊まったよね?


勘違いするよ?


鈴木さんが俺を男として、好きなんじゃないかって…


「じゃあ、引き取りしてから帰りますので
皆さんも遅くならないように!」

「鈴木さん!休みなのに、色々すみません」

「いいえ!呼び出しついでですよ!」



鈴木さんのおかげで、その後の打ち合わせは、すこぶるはかどった






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