一目惚れの片想い
軽蔑する…
しっかりとフラれて

仕事でも、絡みがなく


あれから、昼も鈴木さんだけ別行動


忙しいんだろうって、吉岡さんが言ってたけど

避けられてるかもとか思ってしまう


「田中君、心配なく!
俺も御無沙汰だから!
ずっと課長不在だよ!」

「は?全く顔出してないんですか?」

吉岡さんが広瀬さんを問いただす


「あっまぁ、ほとんど来ないけど
鈴木さん、仕事は完璧だから…」

吉岡さんがスマホを弄る
鈴木さんに掛けるんだろう


「もしもし!?
お前、課長職なめてんのか?
あ?知るか!?
つーか、昼くらい秘書課抜けてこい!
は?お前バカだろ!?
明日は、どうにかしろ!」


吉岡さんは、短気だ

火の玉のように、鈴木さんを攻撃する

電話切ってから、ため息


「あのバカ、昼食べる暇ないんだとよ」


食べ終わってから、雑談していると

鈴木さんがバタバタと来て


「今から、出張で九州に行くの!
帰って準備するから!
明日、無理だけど
課長職なめてませんから!!
じゃあ!!」

「ちょっと待て!!」

「なに?急いでるの」

「誰と行くんだ!?」

「誰って…社長と2人だけど?」

「出張は、立川さんがいつもついてくだろ?
なんで、お前なの?」

「色々、あって忙しいのよ
帰ったら、説教でも何でも聞くからね!
あっごめん、電話!
鈴木です!…今、一緒ですけど?
はい、わかりました」 


鈴木さんが電話を切ってから


「吉岡さん!出張の間、総企の課長を兼務して下さいね!んと、3日間ね!
広瀬さん!社長が広瀬さんにもついてこいって!今から、帰って準備してくれる?
飛行機の時間は、電話するから
準備出来たら、空港に向かってね!」

バタバタと広瀬さんと鈴木さんが

食堂を出た


「嘘だろ… 兼務とか… ありえねぇ…」



上司からの指令だから、吉岡さんに断ることは、出来ない



吉岡さんは、仕事が増えて、てんてこ舞いになった


3日間、3人分の仕事をひとりでこなす

吉岡さんは、本物の鬼のようだった


近寄れなくて、声も掛けられなかった





出張から帰って来た翌日

〝広瀬 隆徳 総合企画課 課長〟

という辞令


短期間に広瀬さんは、出世した


鈴木さんは、秘書課だけに専念するようだ





慌ただしい毎日で、鈴木さんと

すっかり疎遠になってしまった




そんな…とある日の午後




企画課に鈴木さんが来た

吉岡さんに呼ばれたらしい


フロア内にあるガラス張りの

ミーティングルーム


防音設備のあるその部屋に

2人が入った


すると、隣の席から松下さんが

「今から、バトルが始まるけど
気にしないで下さい!」

バトル!?

米岩さんと気になって、ふり返る

まったく聞こえないけど、明らかに

激しい言い争いをしている


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