ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜
『便利』という敬太の一言で、私を含めた海派のクラスメイト達も湖に希望を変えた。
これで場所は三日月湖キャンプ場に決まり、あとは日にちを決めるのが重要。
約一ヶ月ある長い夏休みの、いつにしようかと渡辺くんが言ったところで、絵留が手を挙げて言った。
「あのね、夏休みの、出来るだけ早い日にちにしてもらえるかな?
私、8月1日から家族でアメリカに行くの。戻るのは新学期の前日なんだ」
ということは……夏休みが7月28日からだから、選べる日にちがかなり限られてしまう。
私と梨沙は、お弁当を食べる箸を止めて、顔を見合わせた。
絵留のアメリカ旅行の話は、随分前から知っていた。自慢げに話していたし。
だから、夏休みのキャンプに絵留は欠席するんだろうと思っていたのに、まさか行く気だったとは……。
修学旅行と違ってキャンプは学校行事じゃない。都合が付かないなら欠席でいいじゃない。
絵留の都合でそんなにも日にちを限定してしまうのは、みんなの迷惑になるのに、よくそんな発言ができるよね。