空蝉
真理が死んで、5年。
ヨシキももう21歳だ。
真理は今の俺を見たらなんと言うだろう。
あれほど嫌っていたはずの仕事をしてるなんて、と呆れるだろうか。
真理に会いたいという気持ちに変わりはない。
だけど、それはもう、懐かしき過去に対する愛しさだ。
ヨシキは今、顔を上げて『現在』を生きている。
あの頃とは少し変化した、でも同じ仲間と共に。
大切なものを胸に秘めて、進んでいるのだ。
真理のくれた愛を宿して、俺は今日も精一杯、生きていくよ。
笑いじわだらけのおじいちゃんになって、いつか、たくさんの思い出と一緒にそっちに行く日まで。
その日まで、どうか、こんな俺を見守っていてくれないだろうか。
そしたら俺は今より少しだけ、強い気持ちでいられるはずだから。
END

