空蝉
ヨシキは。

ヨシキはきっともうダメだ。


生きてるけど、生きてない。



ヨシキの心に空いてしまった大きすぎる穴は、多分、誰も塞げないだろう。




最愛の真理を失ったヨシキは、今や、生きて、ただ笑ってるだけの人形みたいに成り下がってしまったのだから。




幼馴染だった、翔とヨシキ。



ヨシキが翔の妹である真理を、いつしか特別な目で見るようになったのも、必然といえばそうなのだろうけど。



ヨシキと真理は、翔には内緒で、幼いながらに愛を育んでいったらしい。


しかし、後輩からの人気が高かったヨシキと付き合っていた真理は、いじめられて、死を選んだ。

何も知らないまま、ヨシキは、愛する女を、ある日突然、亡くしたのだ。




けれど、寝耳に水だったのは、翔も同じ。




妹がいじめられて自殺した。

しかも幼馴染で親友のヨシキが、自分には告げずに真理と付き合ってたことが発端だった。


翔のショックだって計り知れないものはあるけれど。




とにかくそれ以来、翔は荒れ、ヨシキは自責の念と共にそんな翔への罪悪感を抱えながら、微妙な距離のまま、もう4年。




仲直りすればいいだとか、そういう簡単な話ではない。


カイジから見れば、誰を責めることもできないし、何をどうすればいいのかもわからない。

翔とヨシキの溝は、大きくなることはあっても、塞がることはないんじゃないかと、悲しいけれど、思ってしまう。

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