十八歳の花嫁

第12話 接触

第12話 接触





和威に続いて、瀬崎の小言まで聞いていたら遅くなった。

藤臣はプレジデントスイート直行のエレベーターに乗り、今度は愛実に、今日のことをどうやって切り出すか考える。
ただの秘書で押し通すか、それとも……。


「ただいま……遅くなってすまない」

「お帰りなさい!」


藤臣がスイートの玄関に足を踏み入れるなり、愛実が飛び出して来た。
出迎えの言葉と共に、変わらない笑顔を見せる。

昼間は和威の目もあったので見逃してくれたのだ、と思っていた。
ふたりきりになると、手ぐすね引いて待ち構えているだろう。あるいは、ホテルから出て行こうとするかもしれない。

藤臣は不安に駆られ、思わず支配人に彼女が室内にいるかどうか、電話で確認したくらいだ。


「ど、どうした? 何かいいことでもあったのかい?」


そう言って藤臣はネクタイに手をかけた。


「あ……いえ、私が結んだままだから。あの後はほどかなかったんだなって」


愛実の視線は彼の喉元を見て、嬉しそうに笑う。

藤臣も気が緩んでしまい、


「一日に二度も密会はしないさ」

「そうじゃなくて……結び直すんじゃないかって」

「……すまん」

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