十八歳の花嫁

第6話 決裂

第6話 決裂





美馬は派手な看板の下をくぐり抜けた。
女と入り、セックスなしで出て来たのは初めての経験だ。


「お疲れ様でした。首尾はいかがでしたか?」


見計らうように美馬の横に車が停まった。
彼は後部座席に乗り込みながら、車を運転する瀬崎の質問に答える。


「あの娘が出て行くのは見たんだろう? それで俺に聞くのか?」

「ええ、そうですね。しかし社長、そのわりに随分愉快そうな表情ですが……」


瀬崎はにこやかに応じつつ、車を発進させた。

言われてみて、美馬は自分が愛実の対応に不満を感じていないことに驚く。

女子高生にはもったいないほどの金額を提示してやったのだ。
それを一蹴されれば、頭にくるのが普通だろう。身体を売るほど切羽詰っていながら、よくもあんな綺麗事が言えたものだ。

そう思っているのは確かだが……。


「じいさんたちの愛情を金には替えられんそうだ。一晩で十万も吹っかける女が……笑わせてくれる」


可笑しそうに言う美馬に、瀬崎は眉を顰めた。

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