十八歳の花嫁
「こちらはお客様用――愛実様はご家族同様に、と藤臣様から申し付かっておりますので」
それが美馬家のルールだと言われたら、愛実には断れない。
「あの、二階の家族用というのはどこにあるんでしょうか?」
愛実の問いにメイドはニッコリと微笑み、「ご案内いたします」そう言ったのだった。
「私、藤臣様のお部屋を担当しております、宮前千里(みやさきちさと)と申します。藤臣様のことでしたら、何なりとお訊ねください」
「はい……どうもありがとうございます」
普段であれば、愛実はそれほど警戒はしない。
藤臣に言われた言葉も、『男は年齢問わず、絶対に気を許さないでくれ』だった。
だが、どうもこの千里は、彼女のほうが愛実に敵対心を持っている気がしてならないのだ。
そして愛実が思ったとおり、二階への階段を昇り切ったとき、彼女は振り向きフフッと笑った。
「藤臣様の、お好みの体位もお教えしますわ」
愛実は一瞬、何を言われたのかわからなかった。
真っ赤になるまで五秒ほどかかったように思う。
だが、負けずに言い返した。
「そ、それは結構です! ふ、藤臣さんから、ちょ、ちょく、直接教わりますからっ!」
そんな愛実の反応を見て、千里は余裕の笑みをこぼす。
「まあ、それじゃ“まだ”なんですの? 藤臣様もお気の毒に。お嬢ちゃんの子守だなんて」
藤臣の愛人は邸のメイドの中にもいる。それは暁に言われたことだ。
和威も、藤臣は何人もの女性と付き合っていると言っていた。きっと、目の前の女性がそのひとりなのに違いない。