十八歳の花嫁
実を言えば、ここに来るまで考えていたことは、
(別れ話をする前に、性欲の処理だけさせてもらおう……少し余分に払ってやればいい)
嫉妬を含む愛実に対するやり場のない感情を、久美子にぶつけるつもりだった。
だが今は……。
「下りてくれないか? これじゃ真面目な話ができない」
藤臣の冷ややかな声に久美子も何か感じ取ったらしい。
「いやだわ、そんな怖い顔して……」
無造作に彼女の腕を払いのけ、藤臣はソファの隅に座り直す。
もしこれが愛実なら、泣き出したかもしれない。
愛実は藤臣のことを、彼の実像とはかけ離れた位置に置き、彼女の理想の男性像と重ねているような気がしてならない。
女を道具にように扱う彼の本性を知れば……『好きです』という言葉も取り消すだろう。
一方、久美子は藤臣の本性しか知らない女だ。
彼のつれない態度は慣れているらしく、まるで気にしていない様子で、「飲む?」と新しい缶ビールを差し出してくる。
藤臣が断ると、久美子は自分で飲み始めた。
「そうだわ、思い出した! ねえ、来月は東部デパートの開業記念パーティじゃないの? 今年はT国ホテルであるそうじゃない。もうっ、どうして早く言ってくれないのよ。今からじゃ、新しいドレスが用意できないわ」
唐突に声を上げ、久美子は缶ビールをテーブルに置いた。
心底困った表情で、ソファの背に肘をかけて額を押さえている。
「――必要があるのか?」
「何言ってるの!? あたしが着飾らないと、あなたがパーティで恥を掻く事になるのよ。そうでしょ? 美馬社長さぁん」