十八歳の花嫁

一方、久美子は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、藤臣を見上げていた。

久美子にとっても相打ち覚悟の作戦になるはずだ。
これだけ大勢の前で公表したということは、父親はともかく妊娠は事実なのかもしれない。

このままでは、明日のスポーツ紙の朝刊は美馬家の醜聞で埋まるだろう。


藤臣と久美子は真正面から睨み合い、ひと言も発しない。

瀬崎は力尽くで久美子を排除していいのかどうか迷い、藤臣の指示を待っている。

周囲の客は固唾を呑んで茶番を見守るしかなく……。

この三竦みの状態に終止符を打ったのは、予想外にも愛実だった。


「あの……わたしにはよくわかりませんが……。こちらの方は藤臣さんにお話があるのでは? 藤臣さんがご一緒に行かれたほうがいいと思います。わたしは会場におりますので」


藤臣はその落ちついた声に驚いて隣を見る。

愛実の表情は泣くでも怒るでもなく、少し困ったように、だが微笑んでいた。


(な、なんで、愛実はこんなに冷静なんだ? この数日ですっかり気が変わって、俺のことなんかどうでもよくなったのか!?)


真摯な思いを寄せられることに困り果て、逃げ回っていた自分の行状は棚上げだった。

嫉妬で泣き喚いてくれない愛実の様子に、藤臣は理不尽にも怒りすら覚える。

だが、声を荒げたのは彼ではなく、久美子だった。


「あたしはここで話しても構わないわ! ふたりっきりより、大勢の方に聞いていただきたいくらいよ。あなたには申し訳ないけど……。おおやけの席ではっきりしていただかないと、お腹の子供が可哀想でしょう?」

< 205 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop