十八歳の花嫁

自己嫌悪の穴に埋まるのは、愛実のファーストキスをトイレで奪ったときだけで充分だ。

ゆっくりと愛実を押し倒し、布地の上から彼女の胸に触れた。


「あっ……んん」


愛実の声を聞いた瞬間、藤臣は我慢にも限界があることを悟った。

彼女を横向きにして背中のファスナーを下ろす。
ワンピースの上半身を脱がせ……闇に慣れた藤臣の目に、下着姿の愛実が映る。


「愛実……愛してるよ」


こういうときはそう言うべきだ。

そんな打算で口にしたはずの『愛してる』は、彼の心に正体不明の波紋を描いた。

甘やかな波はどんどん広がり、彼の心を覆い尽くしてしまいそうだ。


――愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。


このままいっそ、『愛してる』の波に飲み込まれてもいいかもしれない。

藤臣の指がブラジャーの中に滑り込み……。


直後、携帯電話のコール音が寝室の静寂を突き破った。

藤臣が脱ぎ捨てた上着から聞こえる。
仄かに点滅する光も見え、艶かしい空気が消えていく。


「あ、あの、電話が……」

「無視しよう。大したことじゃない」

「でも……」

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