十八歳の花嫁

☆ ☆ ☆


瀬崎はしばらくの間、玄関前に立ち尽くしていた。
為す術を失い、途方に暮れている様子が傍目にもはっきりとわかる。

そんな彼に大川暁が近づいた。


「勝負あった、かな? 弥生ばあさんには誰も敵わないってとこか」

「勝者のいない、馬鹿げた勝負です」


瀬崎は吐き捨てるように言う。

その言葉の意味が暁も痛いほどわかった。

どこまで相手を痛めつけても、弥生が満たされることはないだろう。
周囲の者を言いなりにさせ、結局、何ひとつ思いどおりにならなかったと言い続けて死ぬのだ。

一志がそうだったように。


「それでいて、敗者はちゃんといるんだ。妙な話だな」

「暁さんは、この件はご存知なかったんですね」

「俺がそれほど悪党に見えるかい?」


軽口を叩く暁に瀬崎は小さく首を振った。


「結婚式には出席されないのですか?」

「出席予定だけどね。さて、どうなるか。瀬崎くんはどうするつもりなんだ? 藤臣くんを探す気か?」

「もちろんです。心当たりを回ってみます」


瀬崎は暁に頭を下げ、自分の車に乗り込み走り去った。

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