十八歳の花嫁
吹き抜けのエントランスホールに色とりどりのフラワーシャワーが舞う。
尚樹や真美が手に花びらの入った籠を持ち、「おめでとう!」言いながら新郎新婦にかけて回る。
いよいよ身内だけの、参列者は十人にも満たない式だった。
シルバーのフロックコートを着た藤臣は、どこか気恥ずかしそうな表情だ。
ドーム状のガラス屋根から降り注ぐ夏の陽射しに軽く目を細める。
「藤臣さん……大変なときなのに、わたしのために結婚式を挙げてくださって、ありがとうございます」
愛実が気を回して声をかけると、藤臣は困ったように笑った。
「君のためじゃない。私たちの結婚式だ。それに……絵美の件はこの先しばらく、君につらい思いをさせるかもしれない」
恭子一家のことを口にした途端、藤臣の瞳に翳りが見えた。
今回の騒ぎで恭子たちは関東近郊から離れることが決まった。
絵美は藤臣を実の父と信じたまま、自分と八歳違いの女性を妻に迎える彼に不満を口にしたという。
それを見た恭子が、自分も愛する男性は別れた夫だけだ、と娘を説得したのだった。
“愛人と実子を捨て十八歳の花嫁を選んだ男”
もうしばらくはそんな記事が週刊誌を賑わすかもしれない。
藤臣はそのことに酷く傷つき、愛実に対しても申し訳なさそうな顔をする。