十八歳の花嫁
しかし今度は、
「よせ、和威」
隣の美馬が、グッと腕を押さえ込む。
「宏志くんは相変わらずだね。この分だと、もう二~三年は学生を続ける気かな?」
美馬の向かいに座った暁が苦笑まじりに言う。
その言葉を受けて、ようやく信一郎も口を開いた。
「ごめんね、愛実ちゃん。悪い奴じゃないんだが、まだまだ学生だから……合コン気分が抜けないんだろうな。花婿候補には肩書きも重要だからね。それに血統も、ね」
弟を庇うというより、ただ自分の正当性をアピールしたいだけらしい。要約すると、和威は社長ではないし、美馬は養子だ、と。
ディナーの時間は終始この調子だった。
和威が愛実に対して真面目に話しかけ、信一郎が軽口でチャチャを入れる。
そして、さりげなく両方をフォローするのが暁という役回りだ。
美馬はというと、相槌程度で自分から話しかけることはない。
だが、時折ジッと愛実を見ている。それは値踏みするような視線ではなく、何か言いたげなまなざしだ。
何を食べ、何を飲んだのかよくわからない時間が過ぎ、ようやく愛実は自宅に戻れることになった。
最後に弥生が口にしたのは、
「では、誰かに送らせましょう。愛実さん、あなたが決めて上げてくださいな。もちろん、結婚相手ではなく、安全なボディガードで構いませんよ」
この中で普通に選ぶとしたら和威だ。
弥生もそれを望んでいる気がする。
だが、美馬とふたりになりもっと話したい気持ちもあった。その場合、間違いなく弥生の機嫌を損ねるだろう。
愛実はしばらく悩み、口を開いた。
「あの……わたしは……」