勇気を出して、空を見上げて。

「るーむしぇあ?」

「同じ大学のやつと、一緒に住むの」

「……遊びに、いけないの?」

「来られるようにする」


真湖が、安心して帰ることのできる場所になるように。


真湖の、逃げ場になれるように。


「すぐには無理だけど、早いうちにそうするから」


だから、


「おいで、真湖」

「……うん」


護りたい。護りたい。


役不足だって分かっていても、護りたいと思う。


「お兄ちゃんが増えるぞ」

「ほんと!?」

「おう」


真湖を護れるなら、きっと何でもできる。


アンタはきっと止めるだろうな。だけど止められないよ、アンタには。


「じゃあおやつ食うかー」

「食べる! 今日なに!?」

「ワッフル、だったかな」

「ワッフル!」


コンビニの袋をがさごそと漁って、入っていたワッフルを真湖の前に出した。


味は、カスタードとチョコの二つ。


「どっちにしよう……」

「悩んでると俺が先に決めちゃうぞー」

「だめ!」


遠慮なしに声を張り上げられて思わず笑った。


それに気付いたのか、真湖が顔を赤く染める。


「うーん……えっと、じゃあ……えぇー……」

「そんなに悩むとこかよ」

「そうだよ! どっちかだけ買ってくれればよかったのに!」

「じゃあ、半分こしねーの?」

「! する!」

「痛てッ!?」


最初から考えていた方法を提案した途端、ぱっと顔を上げた真湖の頭と俺の顎がぶつかった。


地味に痛い。


「星お兄ちゃんごめん!?」

「おいはてなマークついてんぞ」

「そ、そんなことないよ!」

「テンパってんのバレバレ」

「くうう」

「俺に勝とうなんざ百年早いな」

「星お兄ちゃん長生きだね!」

「そっちか!」


あははっと真湖が笑い声をあげた。

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