双子の御曹司
「遥? 遥?」
「ん…」
「遥、分かるか?」
「たっちゃん?…どうしたの? ここは…」
「良かった気が付いて… 事故にあって3日間、ずっと眠っていたんだよ?」
遥は、初め自分がどこに居るか分からないようだったが、事故にあった事を話すと、稔の事を一番に心配した。稔には怪我一つ無い事を聞くとホッとしている。
だが、流産した事を伝えると、涙を流して、亡くなってしまった赤ちゃんに謝っている。
「ごめんなさい…赤ちゃんごめんなさい…」
遥…
「遥のせいじゃない。自分を責めないでくれ。」
俺は遥が落着くように頭を撫でていた。
遥は、こんな悲しみの中でも、稔の事を心配して流産の事は、ここだけの話にして欲しいという。
遥、君はなんて人なんだ…
俺は涙を耐える事が出来なかった。
君の優しさは、赤ちゃんにも伝わっていたよ。
だから、君と稔を守ってくれたんだよ?
俺はそう信じるよ…
君も、そう信じて、苦しまないでくれ?