計画的俺様上司の機密事項
人手不足っていわれたのは大げさで、仕事内容は以前いたときと変わらずに原稿の校正と画像加工、ウェブ版への記事移行の仕事だった。

まずは校正をしてほしいと真鍋先輩から頼まれ、来月号のゲラをもらう。

野上くんが書いた洋食屋とコーヒショップの記事が載っていた。


「すごいわね、あの子。何でもできちゃうなんて。ねえ、有沢さん」


「え、ええ」


真鍋先輩は想像してるんだろうか。

やっぱり、うふふと上品に笑っている。

真鍋先輩は今朝の野上くんがわたしにけしかけたことはたぶん誰にも話さないだろうけれど、野上くんの記事をみつけたとき、あきらかに真鍋先輩の好奇心旺盛な目は印象的だった。

お昼休憩になり、この階にいる人たちがぞろぞろと外へ出ていったり、自分の席でお弁当を広げたりしていた。


「お昼、食べよっか。有沢も一緒に」


渡瀬先輩が声をかけてくれた。

わかりました、ちょっといってきます、と渡瀬先輩に告げて上の階に戻る。

正直、ドアを開けるのが気が引けたけれど、思い切りドアを開けたらすでに野上くんの姿はなかった。

カバンをとってそのままコンビニへと向かった。

通用口から外へ出ると、北風が強く吹いてスカートの裾があやうくめくれそうになる。

近くのコンビニにいくのはシンちゃんが同居する前にずっと通っていたところだ。

多くのサラリーマンやOL、作業服をきたおじさんたちが思い思いにお弁当やパン、飲み物を買っていく。

わたしもその波にのまれつつ、新商品のシールが貼られたおにぎりを2つ買って、3階に戻ってきた。
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