計画的俺様上司の機密事項
「わたしも本当にクリスマスなんか嫌いだった」


「そうなのか?」


「おわんの山の件があったから、シンちゃんがめんどくさくなってわたしの前から消えて、嫌われたかと思ってた。恋愛に自信なくしたんだから」


「オレのせいかよ。まあ、変な男が寄ってきちゃうのはいかがなものかと。あ、オレも変な男か」


と、がはは、と今までの苦い思い出を吹き飛ばしてくれるかのように笑ってくれた。


「でもシンちゃんとまた会えて、好きって言えて、クリスマスを迎えられて嬉しい」


「オレもだよ、夏穂」


やわらかなシンちゃんの声に、どきん、どきん、と胸を打つ。

お互い照れ臭くなりながら残った料理を食べて、一緒にごちそうさまといい、ちょっと落ち着いていると、


「ちょっと待ってて」


「うん」


パンケーキを焼いてその上からわたしが作った生クリームをのせ、いちごやブルーベリー、クランベリーをきれいに盛り付けて出してくれた。

カフェインレスのコーヒーをいれてくれて、パンケーキと一緒に味わう。

甘さ控えめなパンケーキはするすると口の中へと入っては消えていく。


「そういえば、常務から言われたんだけど、わたしから率先して掃除するだなんて、シンちゃんが言ったの?」


「少しでも常務に目を留めてもらうチャンスかな、って思ってさ」


「その時にあの部屋のこと、常務に提案してみた。共有できるスペースにして食事会をしてみてはどうか、って」


そういうと、シンちゃんは微笑んでくれた。


「いい案だな。これはオレの出世に関わるかもな」


「それってもしかして、シンちゃんが食事会のときにみんなにごはんを振る舞うってこと?」


「それもいいなって。いいアイデアだな、夏穂」


シンちゃんに褒められながら、パンケーキといちごを一緒に食べる。

甘酸っぱさが広がってわたし好みの味に仕上げてくれたんだな、とかみしめながら思った。
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