計画的俺様上司の機密事項
「まったく、お母さんめ……」


「というわけで、しばらくご厄介になりますのでよろしく。もちろん、夏穂の教育係も務めさせてもらうんで」


「そんなことしなくて結構ですから」


「まあ、オレと生活していけば、夏穂は変わるよ」


「変わるって、何がですか」


「いろいろ」


「いろいろって」


そういうと、ごはんを食べ終えたシンちゃんがいやらしくわざと目尻を下げてきた。


「おや、朝から教わりたいのかな? あんなことやら、こんなことなんかの、いろんなこと」


「もういいですっ。ごちそうさま」


「文句は言いながらもちゃんと平らげてくれるとはな。えらいぞ、夏穂」


「出勤の準備するんで」


食べ終えたお皿をシンクに持って行き、片付けた。


「でしゃばったマネしちゃったか? オレは元気な夏穂をみたかったんだ。まずは朝はごはん食べて元気になってもらおうって作ったんだけどな」


そういって、甘いオーラを醸し出しながら狭い台所と廊下の間にシンちゃんがやってきた。


「あ、ありがとう」


「遅刻するぞ」


「あ、はい……」


部屋に向かうとき、ちらりとシンちゃんの顔をみた。

屈託のない、その明るい笑顔は、朝からずるい。

きっと裏があるに違いないけど、でも、あんなにおいしい朝ごはんを作ってくれたんだから、文句は言えないよな。
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