計画的俺様上司の機密事項
「もしかして、シンちゃん、裁縫とかって」


「ああ、得意だ」


「じゃあ、ドールハウスの中のカーテンとかカバーとか作れちゃったりして」


「小さいものは作ったことないけど、たぶん作れる」


「じゃあ、お願いしてよろしいでしょうか、シンちゃん」


「はいはい、わかりましたよ。作らせてもらいますよ」


わざと甘えた声でいっているのがわかったのか、仕方なさそうに答えてくれた。

手作りキットはまた今度来たときに買おうと目をつけていると、シンちゃんがなぜか手のひらサイズの猫の人形に手をとって、物憂げな顔をしていた。


「シンちゃん?」


「あ、なんでもない。こいつらの服も作れそうだけど、どうする?」


「ドールハウスに猫の人形かあ。別にいいですけど」


「じゃあこれはオレが買うから」


といって、シンちゃんは猫の人形2体を買ってくれた。

さらに隣のプラモデル屋にいき、どうにも鼻息が荒いとシンちゃんに突っ込まれたので、次回買いたいものとして有名なロボット映画のプラモやら、日本や外国のお城のプラモの箱をチェックしておいた。


「怖いぐらいだな。趣味のときに見せるその目は」


「悪うございましたね。自分でも驚きますけど。きっとシンちゃんだって、この気持ちがわかれば」


「イマイチわからねえよ。さ、夕飯の材料買うから、地下のスーパーのぞいて帰るぞ」


「はい」


ようやくわたしの趣味エリアから解放されたシンちゃんはホッとしているように思えた。
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