オフィスのくすり
「えーっ!?
 こんな顔、別れた男に送りつけて。

 最終的にこの顔が自分のイメージとして残ったら厭じゃない~っ」

「そういうことも考えられなくなってるんですよ、きっと。

 っていうか、もしかしてーー」
と和泉は嫌っている風だった井上に近づき、その手にある、今、新たに送られてきたFAXを見る。

 女の姿は、もう顔も見えないくらい巨大化していた。

「これを最後に殺そうとでもしてるんじゃ……」

「なるほど。
 私を殺しかけた人間に言われると説得力あるわね」
と呟くと、

「……と、止めなくていいんですかね?」
と和泉は訊いてくる。

「大丈夫だろう。
 まあ、わからんが」

 曖昧だなあ、と思っていると、井上は言った。

「たぶん、その計画は失敗するよ。
 まあ、見ててみろ」

 FAXはそこで途切れた。
< 18 / 30 >

この作品をシェア

pagetop