彼が嘘をついた

☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

遥が佐久間コーチと話をして、応援席に戻って行く姿を見送った隼人は、大樹たち他のメンバーと一緒に更衣室に向かい、汗を拭いて着替えた。

…遥からお弁当は受け取っていたが、もちろん遥と一緒に食べるつもりでいる。
それは大樹も同じようで…、

「隼人!一緒に遥たちのところに行って、お昼食べてもいいか?」

「俺も、遥たちも大丈夫だけど……真由子はいいのか?」

「…あぁ……。
…俺、美幸ちゃん、ちょっと苦手で…」

「……なるほど、分かるよ。
…でも、真由子が待ってんじゃないのか?」

「…それは隼人もじゃねぇの?
…美幸ちゃんが、待ち構えていると思うよ」

「……そうだろうな…」

2人は溜め息をつくと、一緒に更衣室を出た。

すると予想通り、真由子と美幸が待っていた。

「あっ、大樹!」

「隼人、遅かったね!
お昼、食べに行こう!」

それぞれの腕に絡まってくる。

隼人は、美幸の腕をゆっくり離すと、

「…悪いな美幸。
俺、彼女のところで食べるから、お前とは食べないよ。
あと、真由子と仲いいのは分かるけど、もう俺とは関係ないから構わないでくれ」
ゆっくり静かに優しく、美幸にそう告げた。

「…ごめん真由子。
俺も隼人と一緒に遥たちのところで食べるわ」

大樹も真由子にそう言うと、2人は遥たちが待つ応援席に向かった。



< 128 / 198 >

この作品をシェア

pagetop