彼が嘘をついた
そこに、ペットボトルのお茶を2本抱えて真由子が戻ってきた。

「…ちょっと、美幸!どうしたの?」
佐倉さんが頭を下げていることに驚いているみたいだ。

「真由子、落ち着け!」
「真由子、落ち着いて!私は大丈夫だから…」

隼人くんと佐倉さんの声が重なる。
そして、2人は顔を合わせると、今度は佐倉さんが話し出す。

「……隼人に言われて、さっきの大人気ない態度を、皆さんに謝っていただけだから…。
それに、佐倉食品の社長令嬢が常識ないって思われたくないし…。
あっ。お茶ありがとう」

佐倉さんは真由子からお茶を受け取ると、キャップを開けて飲んだ。
そしてまた、おにぎりを食べ始めた。

「…俺たちも食べよう」

佐倉さんの態度に唖然としていたが、兄の一声でみんなが食事を再開した。

「…そっか。
じゃあ美幸。せっかくの機会だから紹介しておくね。
美幸の隣にいるのが、よつ葉フーズの社長のご子息で、今は営業部の佐久間部長だよ」

真由子の紹介に、兄は背筋を伸ばして佐倉さんの方を向いた。
そして、
「すみません。
今日は完全なプライベートなので、名刺も持っていなくて…。
高野さんから紹介があった通り、四つ葉フーズ営業部長の佐久間です。
近いうち、お父様にご挨拶に行かせていただきたいと思います」
自己紹介をした。

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