彼が嘘をついた
「失礼します」
美鈴先輩に続いて、私と陽菜ちゃんも会議室から出る。
そのまま3人で給湯室まで駆け込むと、一斉に"はぁー"とため息をついた。

「あー、無理!無理無理無理無理!
あの息が詰まる空間、あれ以上、無理だった!」
美鈴先輩が3人の想いを口に出した。

「ホントですよねぇ!」
陽菜ちゃんも同意する。

私も2人を見て頷いた。

「…とりあえず、食べようか?」
美鈴先輩の言葉に、私たちは社食に行ってお弁当を広げた。



☆ ★ ☆ ★ ☆ ★

社食で私たち3人が食べていると永瀬課長がやってきて、不思議そうな顔をして
「佐久間さん。
明日と明後日のお弁当の数、1つ減らしてほしいって。
あと、午後のお茶はいいから、5時になったら片付けに来てくださいって。
あっ…と。
なぜか、佐久間副工場長からの伝言なんだけど…大丈夫、ですか?」
そう伝えてくれた。

「はい、分かりました」

「あの…さ。
会議室、何かあった?
良く分からないけど、"大石部長が左遷される"とか、"社長一族のスパイがいる"とか、囁かれているんだけど?」

もうそんな話が出ているんだ。
どこで、誰が、聞いているんだろう?
私とヒロくんが社長の親族だとバレるのも、時間の問題かな?

憂鬱な気持ちのまま、ランチタイムは終わった。





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