オトナチック
杉下くんが床のうえに腰を下ろしたことを確認すると、
「その前にだけど、昨日の返事を出してくれない?」

私は言った。

「返事…ああ、そうだったな」

杉下くんはやれやれと言うように息を吐いた。

「考えてないなんて言わないでよ」

そう言った私に、
「もちろん、考えたよ」

杉下くんが言い返した。

「それで、どうするの?

お父さんに会いに行くの?」

私は杉下くんに昨日と同じことを聞いた。

杉下くんは話を区切るように、口を閉じた。

私は杉下くんの口から返事を聞くために、彼の眼鏡越しの瞳を見つめた。
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